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今回は、浮気についての一考察である。誰しも、男と生まれたからには、浮気の妖しげな手招きに吸い寄せられた経験があろう。男女関係に、奥行きより、広がりを求めてしまう、われわれ、浅はかで程度の低い男性軍の習性からして、それは致し方の無いところである。加藤芳郎キャプテンにいくら違反ヒントをいただいたところで、あやまちを犯す時は犯してしまうものだ。だって理屈じゃないんだもの。文句があるなら染色体に言ってもらいましょ、ね、みなさん。Ａクンは、トントントンとリズミカルに階段を駆け上がり、その地下のバーから路上に出ると、「終電に問に合いそうだね」Ｃ子に声をかけ、道玄坂を渋谷駅へと下り始める。Ｃ子は、少し不満そ湯２Ｃ子は、少し不満そうな顔を一瞬見せつつも、Ａクンのやや後ろをついて歩く。ＡクンとＣ子は大学のサークル仲間である。Ａクンには、やはり同じサークルにＢ子、というれっきとしたステディがいる。もう半年のつきあいで、お互いマンションにひとり暮らしという願ってもない環境のせいか、セックス三昧の日々である（私がとった統計によると、ひとり暮らしの女は自宅の女より平均７．８３倍セックスをしている）。その有様をビデオに撮り、クリスタル映像に送りつけたならば、「投稿ニャンニャンシリーズ」５巻分がまかなえるのではないかと思われるほど燗れた日々である。
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鏡の前で彼女は、今、分岐点に立っている自分を感じている。自分が席を立っている問に、彼１Ａクンーが部屋をリザーブするならばそれに従う。鏡の前で、白々しく驚いた顔、のリハーサルは、今、すませた。そうでなければそうでない流れに身をまかせるつもりである。一方、Ａクンはと言えば、そんな彼女の気持ちを推し量る余裕などない。ガチガチである。股間の話ではない。どうやって、口説き、誘おうか、昨夜からそればかりを考えすぎるあまり、全身金しばり状態になって、肝心の言葉が出てこない。無理もない。Ａクンはほとんど童貞である。今までの性体験はわずか３回。片山津温泉のスナック「じゅらく」の２階でフィリピーノのコンパニオンとざぶとんの上で１回、歌舞伎町のファッションヘルスでみづきちゃんにこっそり１万円握らせて１回、伝言ダイヤルで意気投合した声はキューティー鈴木だが顔はしのざきの女子高生とアルタ横喫茶「ボア」で待ち合わせて新大久保のホテルで１回１１。ソーダ割りを一気飲みし、さあ言うぞ、と気合いを入れる。バーテンダーが自分の気持ちを見透かしているのではないか、という妄想も少し浮かぶ。
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